バリの何それ?!第59話2004.09.22発行

おじいちゃんを蘇らせる〜ワシの仕業じゃ〜

インドネシア・バリ島での摩訶不思議体験談&失敗談&バカ話

ちょっと変ったウパチャラ(バリの宗教儀礼)があるという情報を掴み、その儀式に参加させてもらった。
何が「ちょっと変った」なのかというと、その家の死んだ●おじいちゃんを蘇らせる●儀式をするということである。

 

おじいちゃんが亡くなったのは3年前。
実際に、おじいちゃんを生き返らせるわけではない。バリアン(注参照)
通して魂を呼び寄せ、おじいちゃんとその家の子孫が会話しようというのだ。
つまり、日本でいう、イタコさんに霊の口寄せをしてもらうのと同じである。

霊媒師バリアン 本当はバリアンを写真に撮るのは禁止されているのだが特別に許可をもらって撮影。

ウパチャラ当日、女のバリアンがやって来た。豚や鶏の生贄、たくさんの果物
やお菓子のお供えが用意され、ガムラン音楽が流れる中、祈祷が始まった。

そこにいる誰もが、純粋におじいちゃんの到来を待ち望んでいた。
しかし、約1名だけはヨコシマな心でジイサンを迎えようとしていた。

約1名とは…、私だ。

正直言ってhappyは、ウパチャラやジイサンの話に興味はない。
霊媒バリアンの力、その真偽を確かめたかっただけである。

しかし、残念というか、当然というか、バリアンにとり憑いたおじいちゃんの
話す言葉はバリ語であった。喋っている内容の半分以上わからない…。
ただ、周りの人たちのザワめく雰囲気とバリアンの声色が代わったことで、
「ああ、ジイサンが降りて来たんだな」と判断がついた。

おじいちゃんとの再会に感激してか、言われたことに対してか、家族全員
大泣きとなった。不思議なことに、私自身も涙が溢れ出てきた。親族でもなく、
バリ人でもなく、バリ語が解るわけでもない私が泣いているのである。
“泣く”というよりは“体じゅうの水分が目に集まった”という感じだ。
悲しいという感情はまるでないのに…!もちろん辺りにタマネギ臭もない。

疑り深いhappyでも少しだけバリアンの力を信じた。その場の雰囲気に流され
やすいという私の性格上、“もらい泣き”という疑問点も拭えなくはないが…。

ジイサンは最後に、その家の主人である息子と彼の奥さんに「ケンカはするな」
と諭し、「時々、嫁の財布からお札を抜き取っているのはワシじゃ!」
と告白してバリアンの体から去っていった。

純粋なバリ人一家は、「夫婦の愛情を試すために、おじいちゃんがわざとお金
を隠していたんだね…」と満足気に納得していたが、ヨコシマな心のhappyは、
「夫婦ゲンカの原因はジイサンかよ…」と、一人心の中で呟いた。

 

*注…「バリアン」とはバリの祈祷(奇術・占い)師
冠婚葬祭にはなくてはならない人物であり、村の医者や裁判官のような役割をする。主にお祓いや
儀式の進行が仕事だが、呪いを解いたりかけたり、白と黒(右と左)の魔術を使うバリアンもいる。