バリの何それ?!第58話2004.08.30発行

ポトン バビ〜腹がピーピーです〜

インドネシア・バリ島での摩訶不思議体験談&失敗談&バカ話

実は私happy、店名を☆ばびぐりん☆とするほど、バビグリン料理好き
でありながらも、いまだかつて、●ポトン バビ●は体験したことがなかった。

「ポトンバビ」。それはバリヒンドゥー行事に欠かせない神様への最も大きな貢物…。
「豚を絞める」という聖なる儀式である。

 

そのポトンバビに、この8月の行事で初めて参加させてもらえることになった。

祭日が近くなるとブタの価格が高騰するので、1ヶ月くらい前にブタさんを購入。
そのまま豚屋にブタを置いておいてもらう。しばらくはその豚舎で育ててもらい、
ポトンバビの前日にトラックでブタを迎えに行く。

ちょっと大きめの黒毛だ。オマケで赤ちゃんブタをつけてくれた。
あまりにもかわいいコブタだったので、「リードをつけて散歩させたい。」と言ったら
皆に反対された。「そんな事するのはギラ(キチガイ)だ。」と。

午前3時。辺りはまだ真っ暗で肌寒い中、ポトンバビが始まった。
夜中の3時まで仕事をすることはあっても、起床はムリ!とは思ったが、一生に一度の
経験になるかもしれないし、☆ばびぐりん☆という店の名にかけても頑張ることにした。

高校の時、生物学の授業が「カエルの解剖」と聞くと、授業は速攻ブッチして(サボって)
部室に隠れていた私だが、今回、「殺すトコを見ちゃったら食べる気が萎えるかもよ…」
と言われても、そうはビビらなかった。

黒ブタが大暴れして「ブゴー!ブギー!」と断末魔の叫びをあげても、首を切った時に返り血
を浴びても、お腹からズルズルッと大腸やいろんなモノを引き出しても、そうは臆さなかった。

これには、happyがオバさん圏内に入って図太くなったということもあるが、
頭の中に“カエルは解剖、ブタは料理”という意識があったからだと思う。

暴れるバビを押さえつける。ちょっとカワイソウだけど…。

さて、スカスカになったブタの腹に香草を詰めて、ブタのお尻から口に
木の芯棒を通して、椰子殻の燃料でグリングリンと豚肉を回転させながら焼き上げる。
1時間経過…肉汁が落ちるたびにジュワァ〜と広がる香りと煙。
2時間経過…皮がパチンッとはじけ、パリパリの照り焼き状態。
3時間経過…「もうそろそろいいんじゃない?」「ま〜だまだ!」
4時間経過…「ねえ、もうそろそろ…。」「中はまだ半生だよ!」
5時間経過…「早く食べたいなぁ…!!」「しょーがないなー!」

やっと豚肉を食べられると思ったら、ここからが長い!長すぎる!
焼き上がったブタに装飾品をつけ、周りをフルーツ盛りでも飾る。
やがて
バリアン(注参照)がやってきて祈祷、お経、清め酒…。
結局、バビグリン料理がいただけたのは昼の2時過ぎであった。

しかも生焼け…。私が焼き場を急かしたせいだ…。されど完食!

その後、腹ピーになったのは言うまでもない。(被害者はなぜか私だけ)

 

*注…「バリアン」とはバリの祈祷(奇術・占い)師
冠婚葬祭にはなくてはならない人物であり、村の医者や裁判官のような役割をする。主にお祓いや
儀式の進行が仕事だが、呪いを解いたりかけたり、白と黒(右と左)の魔術を使うバリアンもいる。