バリの何それ?!第10話2002.02.22発行

足元注意。〜置いてきぼりの死体〜

インドネシア・バリ島での摩訶不思議体験談&失敗談&バカ話

バリの道を歩くときは、スリと●足元に注意●しなければならない。

サンダル履きで、お供えの線香を踏んでアチッとなるのは日常茶飯事。
歩道が突然陥没していて、ズルリッと穴にハマってしまうこともある。
そう、道には思いもかけない落とし物があったり、落とし穴があったりするのがバリなのだ。

 

ある日出会った大きな落とし物。
暑い日差しの下、田んぼと田んぼに挟まれた道の真ん中に、
白い布でくるまれた物体。なんでこんなところに大きなゴミが…。
邪魔だなぁ。と足で蹴飛ばしたら、なんだか重くて柔らかい…。
変だな?とは思ったが、それでも、後から通る人のためにという
下手な親切心で、せめて道端まで転がそうと足で力いっぱい押した。

すると、布が破れて中から人間が!
し、しかも、し、し、死んでるぅ!!!

皮膚が腐敗し、肉がえぐれ、ところどころ白い骨が見えているソレは、
まさしく死体。もしかして、映画のロケか?ドッキリか?と辺りを見回すが、
それらしき雰囲気はない。死者を足蹴にしてしまった罪悪感と、私が
第一発見者という優越感に発狂しそうになりながら、近くの家に駆け込んだ。

ドキドキしながら、道に死体が落ちていることを、その家の人に伝えると、
意外な返事が…。「あー、あれね。今朝、この村でお葬式があったのよー。
置いてけぼりの遺体は、××さんトコのおじいちゃんよ。」

のどかな田園風景のある村でも…

バリの葬式には莫大なお金と労働力がかかる。
棺を収める霊柩塔や、死者と共に火葬するハリボテ作り。
霊を送り出す音楽隊や、お供え物を運ぶ人間の動員。
こんなに大変だから、家族の誰かが亡くなったからといって、すぐ葬儀
というわけにはいかない。とりあえず死者を土中に仮埋葬しておいて、
資金が貯まったら葬儀を出すか、近所のお金持ちの誰かが亡くなるのを
待って、その葬儀に便乗させてもらうしかないのだ。

また、日本のように葬儀屋はないので、式はすべて「バンジャール」と呼ばれる
自治体によって行われる。このバンジャールが、ありがたいようで恐ろしい。
普段から寄り合いに顔を出したり、寄付金を納めたりしていない人は、村八分。
死んでからもひどい扱いを受ける。

この遺体(おじいさん)は、生前、バンジャールの行事に参加していな
かったため、葬式の途中、道の真ん中に置いてきぼりにされたのだそうだ。
「そんなバカな!」と思うことが、バリにはアリなのだ。

それにしても、あのときゃアセった…。
ご遺体の“その後”も気になるところだ……。