バリの何それ?!第07話2002.01.10発行

死と生はリサイクル?〜闘鶏物語〜

インドネシア・バリ島での摩訶不思議体験談&失敗談&バカ話

バリ人のニワトリ好きは有名である。ペットにニワトリを飼っている家は多い。
デンパサールの鳥市場はいつも大勢の人でごった返しているし、美術館へ行けば、
ニワトリを抱えたおじいさんをモチ−フにした彫刻や絵画が多く見られる。

なぜ、バリ人はニワトリ好きなのか?
これは“闘鶏”と関係があるのだと思う。バリでは娯楽と呼べるものが少ないせいか、
観光地から少し離れると、村のあちこちで闘鶏場を見かける。そこでバリ人たちは、
自分が手塩にかけて育てた自慢のニワトリを戦わせたり、お金を賭けたりして楽しむのだ。

 

バリ人Nもニワトリ好きの闘鶏好きである。
自宅の庭には50羽近いニワトリを放し飼いにしており、特にお気に入りのニワトリは、
カゴに入れて玄関先に置いている。その中に「ブラッキィ」と呼ばれるニワトリがいる。
他のニワトリに比べて、尾っぽが長く真っ黒で、体格がいい。気性が荒く、
鳴き声もでかい。毎朝3時に一番鳴きをする近所迷惑No.1はコイツである。

 

ある日、Nがこのブラッキィを闘鶏に出場させると言うので、ついて行くことにした。
happyにとって闘鶏を見るのはこれが初めてである。

入り口で入場料を払う。
プロレスのリングと同じ正方形の闘鶏場を取り囲むように、観客がすり鉢状に座っている。
二羽それぞれのニワトリの片足に、赤いひもでカミソリがくくりつけられる。
それと同時に人々は立ち上がり、お金を振り回し、大声で何か叫び出す。
二人の男が大きなザルを持って、観客からお金を集めてまわる。
たちまちザルはルピア札でいっぱいになる。ジャッジの号令で戦いが始まる。
闘鶏場は異様な熱気に包まれる。戦うニワトリの悲鳴さえも、観客の
叫び声にのまれてしまう。大金を賭けたおじさんは目がイッちゃってる。
そして、ニワトリの戦闘は、どちらかが死ぬか、座り込むかするまで続くのだ。

結局ブラッキィは負けた。nyoman自慢の尾っぽが命取りだった。
長い尾がじゃまで相手の機敏な動きについていけなかったのだ。
全身血だらけで、息も絶え絶えになっているブラッキィをカゴに入れて連れて帰った。

帰りの車の中でNは一言も口をきかなかった。
家に着いた時には、もうブラッキィは死んでいた。

 

やがて日が沈み、「元気出しなさいよ。」と、Nのお姉さんが
部屋まで夕飯を運んできてくれた。

夕食後もまだしょんぼりしているNを励ますつもりで、私は
「明日、ブラッキィのお墓作ろっかー?」と声をかけた。
すると、Nは「無理。」と言って、私のお腹を指さした。
「happy、さっき、ブラッキィ食べちゃったもん…。」
(お、お姉さん…、夕飯のフライドチキンって、もしや?!!!!)

サテアヤムとアヤムゴレン 注:ブラッキーではありません。

happyは知った。
バリ島では●輪廻転生●の精神が大切にされていることを。(リサイクル?!)
人間は生きものの命をもらって生きているということを。(残酷なまでに…)
そしてあの日、Nが元気なかったのは、闘鶏でかなりの大金をスッたからだということを。
(そーいや、アンタもフライドチキン食べてたわよねぇ。)